中小企業診断士 実務補習の流れ(初回)

診断士

中小企業診断士試験に合格されて、これから実務補習を受けられる方向けに、どういった流れで進むのか、何に注意をすればよいのか、など私の経験をご紹介したいと思います。
指導員やメンバー、役割によって大きく変わるとは思いますがご容赦ください。
なお、私は2021年度の一次試験と二次試験に合格し、2022年3月に開催された5日間のコースを受けました。

申し込み~当日まで

それでは、申し込みから当日までの流れをご説明します。

5日間コースにするか、15日間コースにするか

まず、5日間コースにするか、15日間コースにするか、悩まれると思います。私は5日間コースにしましたが、1回目の実務補習を終えて思うのは、5日間コースの最大のメリットは、

・短期間なので集中して頑張れる

ことかと思います。特に診断先のヒアリングを終えてから報告書を作成するための調査、執筆が深夜に至る場合も多く、15日間コースの場合は診断先への報告会を終えたらすぐに次の会社の事前調査が始まりますので、約1か月半の間、プライベートはもとより、体調面でのタフさが求められると思います。慣れてくるとは思いますが。

一方で、5日間コースのデメリットとして言われるのが、

・すぐに診断士資格を取得できない
・チームが仲良くなる前に解散になる
でしょうか。試験合格後、すぐに資格を取って活動されたい方は、15日間コース一択でしょう。2点目については、チームのメンバーに恵まれなかった場合は逆にデメリットになりますし、ここ最近はオンラインでの打ち合わせも増え、毎回飲みに行くといったことができませんので、以前ほど深いつながりを作ることにはつながっていないかも知れません。
私の場合は、5日間コースでもチームのみなさんと仲良くなりました。

申し込み

中小企業診断協会のホームページから申し込みます。
そこで注意点があります。申し込むためには、実務補習受講者用のマイページを作成しなければならないのですが、そのリンクは、申し込み日時ちょうどにオープンします。
なお、トップページのマイページ(またはMyページ)からは、診断協会の会員用として申し込めるのですが、実務補習用には申し込むことができません。
ですので、2回目以降の申し込みは、1回目で作った実務補習受講者用のマイページがありますのでスムーズですが、1回目の申し込みは、マイページの作成から始めます。
何に注意するのかといいますと、
申し込みが殺到するため、申し込み日時ちょうどにアクセスし、すばやく入力を終えること
です。入力項目には受験番号もあり、合格年度の選択を間違えると次には進めないなど、手間取っていてはその間に受付が終了する可能性があるので、お手元に受験番号などを控えておくことをお勧めします。
申し込みが終わったら、所定の金額を振り込みます。1回目ですので、テキスト付きです。

テキストの受領

当日の10日ほど前に、記事最初の写真にあるテキストが届きました。
実はその前に、Amazonでは実務補習の定番本とされている
という本を購入して読んでみました。とてもよくまとまっており、一次試験で習った内容を改めて復習はできたのですが、実際の企業診断のイメージはできませんでした。
届いたテキストもしっかり読んだのですが、こちらもよくまとまってはいるものの、やはりイメージはできませんでした。
ですので、言いたいことは、
この時点で診断イメージができていなくても大丈夫
ということです。
以降は指導員の先生によって当日までの流れは異なります。

指導員の先生からの連絡と初回の打ち合わせ

テキストが届いたころ、指導員の先生から、Dropbox作成の案内と、初回の打ち合わせ日程の調整、Dropbox作成後には診断先の資料が格納されました。
診断先は製造業でして、資料は、
(1)指導員の先生があらかじめ経営者に軽くヒアリングした時のメモ
(2)2021年度事業計画(2020年度の振り返りと2021年度目標など)
(3)3期分の財務諸表
でした。
初回の打ち合わせが日曜日の夜(Zoom)と決まりましたので、金・土で、共有された資料や診断先のホームページを読み、また、日曜日は図書館に行って「業種別審査辞典」を調べ、同業種との比較を行いました(が、業種別審査辞典は結果的に今回の事例ではそれほど役には立ちませんでした)。
さて、指導員の先生によっては初回の打ち合わせを開催しない場合もあろうかと思いますが、もし開催して頂ける場合は、
不明点は事前に整理しておく
ことが安心や見通しにつながるかと思います。今回の場合は、(1)のメモの疑問点は指導員に聞くことでいくつか解消しましたが、そのほかは、結局は社長にヒアリングしなければ分からない、資料以上の情報はない、ということが分かりました。ですので、それら不明点を社長への質問内容に入れるのか入れないのか、その後に検討することになります。
話が前後しましたが、初回の打ち合わせでは、今回の実務補習のスケジュール
・1日目(金曜日)
午前:ヒアリング項目の合わせ、午後:診断先を訪問して工場見学とヒアリング
・2日目(土曜日)
終日:ヒアリング結果等をもとに、SWOTとクロスSWOT
・3日目(土曜日)
終日:各自作成した報告書の報告と修正
・4日目(日曜日)
終日:修正した報告書の報告と再修正、印刷、提出
・5日目(月曜日)
午前:プレゼン練習、午後:診断先を訪問して報告会
の説明が指導員からあり、また、
・報告書はバランススコアカードのフレームで作成すること
・役割分担の希望を指導員に提出し、指導員がとりまとめて役割を通知すること

が決まりました。

当日まで

バランススコアカードでは、
・財務
・顧客
・業務プロセス
・人材と変革(学習と成長)
の各視点で戦略目標を立てて、アクションプランを計画します。
4つの視点を貫く軸として経営戦略があり、私はこの「経営戦略」の担当になりました。
つまり班長です。
月曜日の夜に指導員から役割分担のメールが届き、火曜日の夜に、班員のメンバーで打ち合わせをすることにしました。なお、まだ実務補習は始まっていないことになっているので、Zoomは私個人のものを使うことにしました。
打ち合わせの趣旨は、初日のヒアリングのための準備をどうするか、でして、具体的には、
・各自、自分の役割の視点をメインにヒアリングする質問内容を作成し、随時Dropboxに格納する
・各自、他のメンバーが作成した質問内容を見て、気づいた点は自分のファイルに追記する
・金曜日に、メンバー分も含めて印刷して持参する
と決まりました。
後で振り返るとここまで念入りにする必要はなかったかも、とも思います。というのも、初日の午前中に発覚したのですが、
みなさん大量に質問内容を考えてきたので、社長へのヒアリングが時間内に全然終わらない
ことが分かりました。ポイントの絞り方としては、いくつかあると思いますが、
社長の人柄を、会社名検索、氏名検索などで事前に調べておく
ことは(検索がヒットすれば)有効かも知れません。社長に提出する診断報告書は、社長がやる気にならなければ価値はない、と考えると、社長の価値観や性格などを踏まえた、社長に響く報告書になっていることが望ましいです。そういった報告書を最終的に作成するという観点で考えると、質問のポイントを少し絞ることができるのではないかと思います。